皆様
このたび、長年にわたりKAKUTAを支えてくれた劇団員、四浦麻希と異儀田夏葉が退団する運びとなりました。二人からのご挨拶を寄せておしらせいたします。
*****
◇四浦麻希よりご挨拶
みなさま、お久しぶりです。
四浦麻希は、劇団KAKUTAを退団いたします。
正直、やめる話をしたのが一年前なので、何を書いていいかわかりません。
物事を忘れやすい薄情者です。ごめんなさい。
でも、WSやいろいろな場所で出会って一緒にお芝居を作った人たちのことは、忘れていません。みんなの名前を出したいくらい。
たくさんの生き方を目にして世界が広がったからこそ、退団という決断になりました。
だから、出会って下さったみなさまや、作品を通して私と向き合ってくださった方々に感謝がとまらない。泣きそう。
私は、ワクワクする事に正直に生きようと思います。
ゆるく楽しく生きることを精いっぱい貫きます。
もし、そんなわたしとお話ししたくなったり、会いたくなった方はSNSでも何でも構わないので、声をかけてくださいね。(勧誘・マルチはお断り)
あなたとわたしのこれからが、もっともっと輝くように祈っています。
ありがとうございました。みんな大好き♡
*****
◇異儀田夏葉よりご挨拶
ずっとフリーで活動してきたわたしは、劇団というものに憧れをもってKAKUTAに入りました。
30歳もとうに過ぎていて、ほんと、よく入れてくれたなぁと今でも思います。
当時、なぜか“演技”というよりも“ツッコミ”をうまくなろうとしていたわたしが、ようやっと、“俳優”と名乗れるものになれたのはKAKUTAのおかげだと思います。(異論は認めます)
あれからもうちょっとで10年、経とうとしています。
この10年で世界も、わたしの考えも、大きく変わりました。
これからの未来を考えたときに、わたしはわたしの責任で、考え、変化を楽しみながら、わたしの足で、進んでいきたいと思いました。
そのわたしのわがままを承諾してくれたことをありがたく思うとともに、劇団を通じて出逢ったたくさんの方たちの顔を今、思い浮かべています。
KAKUTAに入ったことで、わたしのことを知ってもらう機会も増えました。
KAKUTAの異儀田です、と名乗ると、何者でもなかった自分がすこし、価値があるように思えました。
たくさんの経験をさせてもらいました。
たくさんの仲間ができました。
たくさんの大切な場所も増えました。
たくさんのお客様たちに出逢いました。
それは、あのままフリーだったら考えられなかったことです。
そして、それまで知らなかった自分にもたくさん出逢いました。
それはバラさんがわたしにあてがきしてくれた数々のキャラクターたちに出逢ったからです。
これは、わたしの俳優人生の宝です。
ほんとうのことを言うと、誰かにその役を渡すのはさみしいけど、きっとこれからたくさんの素晴らしい俳優たちが、またあらたに息を吹き込んで、わたしの知らなかったそのキャラクターのことを教えてくれるのだとおもいます。
それはまた、これからたのしみなことのひとつです。
あのとき、30歳すぎてKAKUTAに入ったこと、自分にとって最高の決断でした。
KAKUTAにとってそうだったかは…、どうでしょうか…!
三十路の顔面の大きめのふざけ病のシャイ人間を仲間に入れてくれたKAKUTAのみんなに、ほんとうに心から感謝しています。
受け入れてくださったKAKUTAのファンのみなさま、ありがとうございました。
これからのKAKUTAも、フリーのIGITAも、どうかどうか、応援していただけたら幸いです。
またたくさんお目にかかれるよう、そして、おもしろい作品を作り続けていけるよう精進します。
また、かならず逢いましょう!!
*****
◇桑原より
はじめて四浦に逢ったのは2007年に行ったKAKUTAワークショップでした。
参加者たちの中に紛れ、ひょっこりと薄い体でゆらゆらと生えているキノコみたいな子。どこか危うげで、ぱっちりした目だけが好奇心で爛々と光っていて、何かを発見すると嬉しそうにぴょんと跳ね上がる。当時はこれほど長い付き合いになるとは思わず、その細いからだにこの先たくさん支えてもらうとも、想像していませんでした。
「永遠の小学生」という冠で小学生やら子猫やらねずみやら、小動物も様々に演じてもらいましたが、中身は人一倍大人で、先輩にも新人にも、時に厳しく愛情たっぷりに向き合ってきてくれました。相変わらずのキノコっぽさはなくさぬまま、いつの間にか逞しく聡明な女性になっていました。
異儀田とは別の現場で知り合いました。誰もが会ったら好きになってしまう異常なほどの親しみ深さに惹かれ、すぐにKAKUTAで客演に迎えました。
その後ワークショップオーディションを経て入団となりましたが、イギが応募してくれたとき、強力なスター選手が来た!と内心で興奮したのを覚えています。実際に多くの作品で唯一無二の役を生み出してくれました。
また私にとっては、旧知のメンバーが出産や独立などで劇団を離れるなか、相棒のように寄り添ってくれた人でした。お世辞にもかわいいと言えない女ふたりがバンドを組むという芝居をやったとき、町中で取り残される二人が見つめ合うシーンで、イギの暖かい目を見ながら、“全幅の信頼”という言葉を体に感じました。今でもあのふたりに会いたくなります。
KAKUTAは現在、メンバーそれぞれに活動を続けつつ、コロナ禍で走り続けた羽を休めるかたちで劇団活動はお休みを頂いています。
退団の意思を受け、皆様にも本当はもっと早くおしらせすべきでしたが、日々に追われて遅くなってしまったことをお詫びします。十年来の仲間が去ってしまうことを整理するのに時間がかかってしまったのかもしれません。それだけKAKUTAにとって大きな存在の二人でした。
これからも、演劇で、あるいはもっと別の場所で、四浦・異儀田両名共に活躍の幅を広げていくことと思います。
私たちもこれからは友として、互いに力を送り合っていけたらと思っています。
どうぞ皆様、今後とも応援して頂けたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
KAKUTA 桑原裕子